中国ナシ「キンツイリー」における自家不和合性の分子的解析


松浦 孝範1, 乗岡尚子1, 奥畑 聡子1, 石水 毅1, 吉村 由美1, 李 紹良1, 下中 雅仁2, 井上 耕介2, 崎山 文夫1, 乗岡 茂巳1

1阪大・蛋白研, 2鳥取県園試

第72回 日本生化学会大会 (横浜, 1999.10.6-9)

自家不和合性とは、自己と非自己の花粉を識別し非自己花粉でのみ受精する機構である。この現象はS遺伝子座の複対立遺伝子によって支配されていると考えられている。配偶体型自家不和合性を示すナス科やバラ科の植物では、雌しべ側S遺伝子産物としてS-RNaseが同定されているが、自家不和合性の分子機構は全く解明されていない。最近、配偶体型自家不和合性を示すバラ科中国ナシ「ヤーリー」に突然変異により自家和合性に転換した「キンツイリー」が発見された。そこで、我々はこの変異体の和合性の原因を解析することにより、自家不和合性機構に関する重要な知見が得られると考えた。

まず、ヤーリーおよびキンツイリーの雌しべ側蛋白質を二次元電気泳動で展開したところ、ほとんど同じ泳動パターンを示しS-RNaseが泳動する塩基性領域に両品種間で全く同じN末端アミノ酸配列を持つ2種類の蛋白質が検出された。得られた部分アミノ酸配列の情報を基に合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとしてゲノムDNAを鋳型にPCRを行ったところ、ヤーリーからはya1ya2、キンツイリーからはkt1kt2がそれぞれ増幅した。塩基配列分析の結果、ya1kt1, ya2kt2はそれぞれ全く同じ塩基配列で、推測されるアミノ酸配列はバラ科植物由来のS-RNaseと高い相同性を示した。このことは、キンツイリーの自家和合性形質は、S-RNaseの変異ではなく花粉側因子の変異であることを示しており、現在、両品種の花粉蛋白質を二次元電気泳動で解析している。



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松浦 孝範 (MATSUURA Takanori)
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