配隅体型自家不和合性因子S-RNaseの種特異的立体構造


乗岡 茂巳1, 松浦 孝範2, 酒井 宏明2, 井田 孝3, 崎山 文夫4, 佐藤 衛3

1阪大・生命機能, 2理研・ゲノム科学総合研究センター, 3横市大・総合理学, 4四天王寺国際仏教大

第2回 日本蛋白質科学会年会 (名古屋, 2002.6.13-15)

高等植物の多くは、近親交配を回避し植物集団内における遺伝的多様性を保持するため、自己と非自己の花粉を認識し、自己花粉を拒絶して非自己花粉でのみ受精する性質をもつ。この現象は自家不和合性と呼ばれ、1遺伝子座の複対立遺伝子 (S遺伝子) により支配されている。近年、自家不和合性を示すナス科やバラ科植物において、雌しべ特異的に発現しているRNase T2型のリボヌクレアーゼ (S-RNase) が雌しべ側S遺伝子産物であることが実証され、S-RNaseが花粉管内に侵入し、花粉管内のrRNAを分解して花粉管伸長を停止させるというrRNA分解説が提唱された。しかし、S-RNaseと相互作用することで自己・非自己を認識している花粉側S遺伝子産物は未だ同定されず、配偶体型自家不和合性の分子機構の本質は依然不明である。我々は、バラ科ニホンナシS3-RNaseとナス科タバコSF11-RNaseの立体構造を1.5Åの高分解能で決定することに成功した。そこで、S3-RNaseとSF11-RNaseの立体構造の詳細な比較からS-RNaseの種特異的な構造と機能を検討した。その結果、活性部位周辺の立体構造の高い類似性より、バラ科とナス科のS-RNaseのRNase活性は非常に類似していると考えられた。一方、花粉側因子の認識に関して、ナス科SF11-RNaseは分子表面に位置した2領域が共同して花粉側因子を認識しているが、バラ科シS3-RNaseでは1領域単独で認識している可能性が示唆された。現時点では、上記2種類のS-RNaseのみ立体構造が明らかにされているが、さらに多くのS-RNaseの立体構造が決定されれば、S-RNaseの種特異的な構造と機能に関して、より詳細な議論が可能になるであろう。



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松浦 孝範 (MATSUURA Takanori)
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