モンテカルロ法による分子置換6次元探索


吉村 政人, 永田 明希, 松浦 孝範, 近藤 洋平, 中川 敦史, 月原 冨武

阪大蛋白研

日本結晶学会 2004年度年会, (大阪, 2004.11.16-17)

生体高分子の結晶データの初期位相付けの方法の一つに分子置換法 (Molecular Replacement, MR) がある。

MRでは、分子の配向および位置、つまり、回転3変数、並進3変数を決めるのだが、次元の多さと結晶単位の大きさのため全ての可能な配置を探索することは計算量が莫大なため実現困難とされている。そのためMRの手法は、初期探索において次元を減らす (例えば、回転関数を用いることにより回転3次元のみを探す) などによって計算量を減らし一台の計算機でも計算が出来るようになっている。しかしながら初期段階において探索範囲あるいは次元を制限するため、得られた解が本当の解なのか、あるいは局所的な極小値なのかは判別がつかず、それがMR手法の難しさの一因にもなっている。

そこで局所的極小値の問題のない6次元全探索の莫大な計算をCPUの空いている多数の計算機を有効に利用して計算出来ないか考えた。多数のCPUで計算する場合、計算領域の割り振り、計算結果の受け渡しなど、全てのCPUが稼働しているかなど考えるべきことが計算機数に比例して多くなる。しかし、乱数を用いればこれらの困難はなくなり容易にかつ柔軟にいくらでも多数のCPUを利用することができる。実際に、未知の構造 (本会別講演: 永田ら 「SHPS-1の機能についての構造学的考察」) に対して、6次元の変数の全領域に偏りなく乱数を発生させ計算し、値*の良い解と試行回数を記録する簡単なプログラムを作成し最大で30台弱のCPU (origin, linux PC , ibookなど) を用いて8日間かけて探索を行った。試行回数から回転度、並進2Åステップ相当の探索である。その後、角度、位置の探索範囲を制限し約4日間の計算で最終的な解を含む解の集団を得、その集団の組み合わせを上位の解から計算し非結晶学的対称単位内の2分子の解を得た。

*) 探索に使用する評価関数はR-factorではなく対数尤度比 (Log Likelihood Gain, LLG) を使用した。計算にはCCP4のbeastを用いた。



Back toResearch Activity


松浦 孝範 (MATSUURA Takanori)
t.matsuu%gmail.com (“%” は “@” に置き換えてください)

Valid XHTML 1.1! Valid CSS!