ジャガイモ不均化酵素・アカボース複合体の結晶解析


今村香代1, 松浦孝範2, Zhengmao Ye1, 高羽武史3, 藤井和俊3, 楠木正巳2, 新田康則1

1阪府大学院生命科
2阪大蛋白研
3江崎グリコ生化研

日本結晶学会 2004年度年会, (大阪, 2004.11.16-17)

Disproportionating酵素 (D-酵素) はα-アミラーゼファミリーに属し、デンプンから大環状デキストリン (シクロアミロース) を生成する。シクロアミロースは小環状デキストリン (α-, β, γ-CD) より水に対する溶解度が高く、様々な産業分野での利用が期待されている。最近、好熱菌由来のD-酵素 (以下、アミノマルターゼと称す) の立体構造が明かにされている。一方、植物由来の馬鈴薯D-酵素はアミノマルターゼと40%の相同性を持ち、シクロアミロースをより作り易いが、その立体構造はまだ報告されていない。本研究では、馬鈴薯由来のD- 酵素 (以下、本酵素と称す) の触媒機能発現機構を明らかにすることを目的として、基質フリーおよびアカボースとの複合体の結晶構造解析を行った。両結晶とも2.0Åまでの分解能を用いて解析を行った。

D-酵素は結晶中で等価なサブユニットからなるdimerとして存在することが確認された。各サブユニットには1つの活性部位が存在する。N末端側の約20残基のペプチド鎖部分がもう一方のサブユニットと主に疎水的な相互作用をしているが活性中心とは直接相互作用しているようには見えない。各サブユニットは基本的に (β/α) バレルの1ドメインで構成されていた。一方、先に報告されているアミロマルターゼはモノマーとして存在しており、本酵素の1つのサブユニットとのα炭素に関するrmsdは0.75Åであり、両者の構造は非常によく似ていた。また、動的光散乱法とTOF-MASSで測定した溶液中の分子量は、約120,000であり、本酵素が溶液中でもdimer構造をとっていることを明かにした。

アカボースとの複合体の結晶構造は、アカボース由来の糖が活性中心の触媒残基と共有結合していた。本酵素のアカボースとの結合の様式は既に報告されているアミロマルターゼのそれと類似するが、アミロマルターゼではアカボースは切断されずに結合している点で異なっていた。また、本酵素とアカボースとの結合様式は、他のα-アミラーゼファミリーにおけるアカボースの結合様式とは異なっていた。



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松浦 孝範 (MATSUURA Takanori)
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