大学院在学中の研究課題


ニホンナシS-RNaseのX線結晶構造解析

植物は自由に動き回ることができないため自らの花粉が花柱に受粉し受精してしまう自家受精の確率が非常に高くなります。自家受精は種の遺伝的多様性の維持には不利にはたらくため極力避ける必要があります。このような状況のもと顕花植物の多くが獲得したと考えられる機構として自家不和合性があります。自家不和合性は配偶体型と胞子体型に大別され、私の研究対象であるニホンナシは配偶体型自家不和合性を示します。

自他認識は一遺伝子座の複対立遺伝子 (S遺伝子) に支配されています。S遺伝子には雌しべと花粉の各々で特異的に発現する蛋白質がコードされ、それらの蛋白質間相互作用により自他認識が行われると考えられています。配偶体型自家不和合性では、雌しべと同じS遺伝子型を持つ花粉から発芽する花粉管が、雌しべ内でその伸長を阻害され、その結果、雌しべと異なるS遺伝子型の花粉管のみが子房に到達し受精が成立します。

近年、この機構に関与する雌しべ側S遺伝子産物として、雌しべ特異的に発現するRNase T2型のリボヌクレアーゼであるS-RNaseが発見されました。しかし、花粉側にも存在するであろうS遺伝子産物は未だに発見されていないため、配偶体型自家不和合性の分子機構はいまだに解明されていません。

本研究では配偶体型自家不和合性の分子機構を解明する一環として、バラ科ニホンナシに発現しているS-RNaseの立体構造解析を行い、その立体構造を基にS-RNaseにおける触媒機構の解析および花粉側因子に対する認識部位の同定を行うことを目的としています。

ニホンナシでは7種類のS遺伝子型が発見されています。特に、S3-RNaseとS5-RNaseのアミノ酸配列は95%という著しく高い相同性を有しており、両S-RNaseの立体構造を比較することで、S遺伝子型認識部位に関する非常に重要な知見が得られると考えられます。



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松浦 孝範 (MATSUURA Takanori)
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